ウィキペディアはお好き? 縁の下で支える非営利組織をご紹介

ウィキペディアの運営を非営利団体がになうとは、ほとんどの人が知りません。その団体であるウィキメディア財団の活動と同様に、これまで以上にオンライン上で人々は正確な情報を求めています。

今日、何か調べようと携帯電話を見たのは何回ですか? チャットGPT に質問? Alexa や Siri あるいはSNSサイトを開けませんでしたか?

即座に応答が返ってくる点は大きな利点で、このテクノロジーが私たちの生活改善がどれほど進んだか示しています。しかし同時に、大量の情報を整理して最も正確で信頼できる答えを確実に渡すことの困難さも進みました。オンライン情報の現在のエコシステムでは変化が圧倒的に高速になり、検証済みで信頼できる事実をどこに保管するのか、場所の確保はますまく緊急性の高まる課題です。

その目標を念頭に置くウィキペディアは、およそ25年前に創立しました。世界各地でボランティアおよそ 25 万人の皆さんが編集されており、現在では月ごとのアクセスは150 億件に迫ります。著名なインターネット営利企業照らすと、ウィキペディアは世界的なトラフィックを受けることは同レベル(先方を上回らないいにしても)、予算と人員は先方の数分の 1 です。ウィキメディア財団という非営利団体が主催するウェブサイト群では唯一、アクセス数が最多で全体のトップ10 位に入ります。

2022年にウィキメディア財団の最高経営責任者(CEO)に就任して以来、私は世界各地で数百人にウィキペディアの仕組みをどう思うかお尋ねしてきました。するとたいてい、こんなやりとりになりました。

「寄付を頼んでくるメッセージはときどき見かけるけど、今まで広告ゼロとは考えたこともなかった。」

「ウィキペディアの運営者が非営利団体とは初耳。」

「ウィキペディアなら毎日、使ってます。これがない世界なんて、想像もできません。」

会話が終わる頃には、お相手も世界の人々にとって無料で公開してあり「誰でも編集できる百科事典」を自由に使い続けたいなら、ウィキメディア財団の活動はどれほど重要で、その理由は何か、少しは理解してくださいます。当ウィキメディア財団は、ウィキペディアが知識の総和を表現するという理想に確実に近づくように、重要な取り組み4件を進めています。(1)当財団は非常に洗練された【高度な技術バックボーンを提供し、ウィキペディアを安全かつ高速に保ち、世界各地からアクセスできるようにします。(2)当財団は最新のテクノロジーを革新してウィキペディアの正確な最新コンテンツを提供し、これにはたとえ皆さんがオンラインで他のサイトを使っておられる場合も該当します。(3)当財団は知識の完全性を保護する努力を支え、検閲その他の脅威への抵抗を援助します。加えて最重要項目として(4)編集者と寄稿者の皆さんの構築するコミュニティが繁栄するよう、世界のあらゆる地域でボランティアの皆さんをお支えしています。20年以上も前にウィキペディアを世の中に押し出した皆さんとは、テクノロジーが約束を守る限り、人間こそ、いつまでもその中核であるという急進的な信念をいだく人たちでありました。

では、何があればこれら全部を満たすのでしょうか?

  1. ウィキペディアの安全性、高速性、アクセス性を維持する高度な技術バックボーン

ウィキペディアがアメリカ合衆国で最速のサイトの一つに認められているとは、ほんとうなのだろうかと驚かれるかもしれません。ウィキペディアのウェブサイトに信頼性の高い高速アクセスができるかどうかは、居住地に左右されるべきではありません。ウィキメディア財団ではこの技術基盤の拡張を続けて、中東やアフリカ、南アメリカやアジア、ヨーロッパの利用者の皆さんにほぼ同じ体験をお届けしようとししています。

この重要なインフラは、トラフィックの世界規模の急増に対応できるよう、長年にわたり拡張してきました。こうした急増の発生するタイミングは著名人の訃報など、報道価値のある重要なできごとが起こった際と考えられます。そのような瞬間、ウィキペディアには、信頼できる情報源から最新情報を取得しようと、無数の他のサイトからアクセスが集まります。その結果、人々が最も開きたい時にサイトを稼働させ続けようとして、私たちの技術基盤にかかる負担が増大します。それでもウィキペディアはダウンしない、この点は私たちのエンジニアが胸を張れるところです。

これを実現するにはデータセンター2ヵ所に加えてキャッシュ処理センター5ヵ所を設けており、支えるサーバーは2千件超(自前のサーバーを走らせる理由はさまざまあるとして、一番は利用者の個人情報)。これによりWebサイトそのものと、その他の電子資産であるモバイル版アプリの保護に充当します。

そうは申せ、真の投資は私たちの技術者数百名を支えることに振り当てています。この人たちは公開の空間で複雑なコードを記し、厳しいトレードオフを決めて受信トラフィックの一時的な急増に対応、また必要に応じてデータベースをいくつか新規に追加しています。目にこそ見えなくても重要なソフトウェアの管理業務を担当し、メモリ消費量の削減から、システムのセキュリティと安全性を脅かすバグの修正やコード削除まで目を配っています。一例をあげるなら、昨2025年はモバイル版の旧URL廃止に取り組んで、1年がかりで最大19%減というページ読み込み時間の改善を達成しました。

当ウィキメディア財団が投資を継続するべき方面は、ウィキペディアのセキュリティ、速度、信頼性です。その非常に洗練されて無駄がないバックボーンの運営は、使命感の強い技術者が進めております。ウィキペディアを頼りにしてくださるようになった数十億人もの皆さんがクリックするだけで、いつでもウィキペディアを訪問できる、そのために技術者たちは常時、確実に稼働させようと心を砕いています。

  1. ウィキペディアのコンテンツをインターネット上のあらゆるところから利用可能に

私がお会いする人たちのほとんどがご存知なかったのは、たとえご自身が私たちのウェブサイトを開いた経験が全くゼロでも、インターネット上で使っておられるコンテンツはウィキペディア からとってきたものであることでした。 Google に尋ねるとリンクを返してくれますが、それはどこから来たものでしょうか? Siri や Alexa が回答をくれたとして、それをどこから探してきたか、お尋ねになってみませんか? チャットGPT その他の類似のツールは、実はどれも機械学習を受け、ウィキペディアのデータで鍛えているとお聞きになりましたか?

この現象は、日曜版の二部紙『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』にウィキペディアの特徴をうまくつかんだ記事が載りました。「いわばネット(網)の文字どおり、デジタル界全体のつながりを保つもの」という表現です。検索エンジンはウィキペディアの最新記事に大きく依存します。動画サイトなら詳細情報はこちらと利用者をウィキペディアに誘導します。AIチャットボットは回答を生成しようと、定期的にウィキペディアから情報を引き出しています。ウィキペディアはそれ自体が立てた目的と価値観に忠実でありたいはずなのに、こうした状況にどうやって対応しているのでしょうか? 

これは容易ではない上、しかも、これこそ原動力となり、目下、当ウィキメディア財団においていくつもの投資拡大の課題が進んでいます。業界トレンドのあれこれとは逆に、利用者のデータと個人情報保護に一層、力を注いでいます。いわゆるフリー・ライセンスと呼ばれるライセンスのもと、誰であろうと、どこにいようとも、私たちのコンテンツに無料でアクセスできるようにしようと力を注いでいます。そして最重要課題は私たちの信念であり、今後、人間が生成した高品質なコンテンツはチャットGPTなどの生成AIツールにとって、ますます不可欠な存在になると、さらに強く信じて進むことにあります。

この最後の課題について深く考えを巡らせてきました。スティーブン・ハリソン氏は長年、ジャーナリストとしてウィキペディアに携わってきた立場から、次のように述べています。「AI技術の導入は間違いなくウィキペディアがどう使われるかを変え、ユーザー体験を変革するはずである。同時に、チャットGPTなど大規模言語モデル(LLM)の機能やバグはむしろ人間の関心と交差し、ウィキペディアに対する脅威というよりも支える形態なのである。」 当ウィキメディア財団ではこの考えに基づき、AIと機械学習への投資は継続しつつ、中心の役割を担うのは人間であると、常に念頭に置いています。またウィキペディアとの新たな関わり方も実験を重ねてきました。短編ビデオやチャット、ゲーム・プラットフォームなど、ウィキペディアのコンテンツをもっと楽しめる新しい方法を模索しています。直近の実験では編集面に焦点を当てました。主観的な表現をウィキペディアの記事に加えようとした人に働きかけ、「中立な」語調にするように促すと、ウィキペディアでその編集が消されずに残る確率は大幅に上がるとわかりました。

もうひとつ、財団が作成した多言語対応のツールも投資を増やす分野があり、記事を翻訳するボランティア編集者の皆さんを支援するものです。ウィキペディアとその姉妹プロジェクトは、世界で最も多言語化されたデジタルな試みであり、300件超の言語.によるコンテンツ制作を支援しています。言語や文化的背景を超えてウィキメディアのグローバルな使命を達成するには、翻訳における継続的な創造性と革新性が不可欠です。コンテンツ翻訳ツール導入から数年がすぎ、定期的なメンテナンスと改善を重ねてきました。同ツールはこれまでウィキペディアに成立した記事およそ6400万件のうち、翻訳200万件超に利用されました。

以上、ご紹介したすべてに加えて年間予算が必要なのは、ウィキペディアの「事実を結ぶネット」を健全かつ強力に保つ経費です。最近の課題は、読者目線の使いやすさを利用者主導で改善すること。さらにまた、世界中のボランティア編集者や技術貢献者のニーズを優先し、ソフトウェアのカスタム化やツールを調整して個人化、あるいは特定のバグ修正は場合によって300超の言語版ごと、世界のそれぞれの地域ごとに個別のパッチ作成にまで至ります。

当財団が総額2億750万アメリカドルのほとんどをチームの進展に費やす理由は以上になります。世界クラスの技術者やデザイナー、製品マネージャーや研究者、分析家アナリストの集団は、私たち一人ひとりが人類の知識の総和を共有できる世界の構築に取り組んでおり。それはまさに記念碑的な任務です。

  1. 知識の完全性を守り、検閲と闘う

私たちの多くは直接、オンラインにおける悪影響を目にしたり経験しており、それは誤情報や分極化、検閲などです。こうした害をおよぼす現実に加えて、個人データや個人情報に脅威が迫ると、しばしば自力でなんとか対処しなければなりません。だからこそウィキペディアの目指すところ、すべての人に典拠に基づいていて公平で無料で、公開された情報を提供するという目標は、これまで以上に喫緊の課題となっています。

ウィキペディアのボランティアの皆さんは、いわば世界の守り手として最前線に立っています。私は2023年に政府の幹部の皆さんに講演し、ウィキペディアでは思慮深く有益な記事を書くため、構築と改善という日々の過程においてボランティア同士が協力したり議論をかわしたりすることが欠かせないと紹介しました。自らに課した信頼性、検証可能性、中立性の高い基準は、引用と出典を示して達成しています。ウィキペディアのすべての記事には(話し合いを意味する)「トーク」ページを設けて、公開の場で複数の視点を検討し、コンテンツに関する誠意ある判断を下すよう努めています。さらにウィキメディア・プロジェクト群に属するものと属さないものに関するルールはユニバーサル行動規範を守って設定し、 人権規約に取り組むウィキメディア財団の支えも受けて施行しました。

そこで求められるものとは、権威主義と為政者による検閲の増加傾向に抵抗するため、当財団の法務、政策、権利擁護の戦略(ウィキペディア自体が締め出されたブロックも措置の対象で、トルコの事案では解除を補佐)の拡大です。(デジタル・サービス法など)法律で知識へのオープンなアクセスに対応する責任ある規制を促進して、必要に応じ、たとえば依然としてウィキペディアへの貢献が勇気ある行為とみなされる国や地域でボランティアの皆さんを擁護することも該当します。

今日の世界では、 テクノロジーは人類の役に立つと保証する代わりに、その逆は真実ではないと保証したくても、困難さはますます深刻になってきたと私たちは考えます。

私自身はウィキメディア財団のこの活動 — つまり世界各地の人々や社会に知識へのアクセスは公開で公平であるべきという価値を広める活動 — は、これまで以上にご支援をいただかなければと信じています。

  1. ボランティアの皆さんが築く活気ある貢献者コミュニティを支援

ウィキメディア財団はコミュニティの広範なエコシステムの一部であり、そこにはそれぞれの国や地域を代表する協会、関心が共通するボランティアの利用者グループから、オープンな知識を推進する提携パートナー、さらにウィキペディアの編集をする個人の皆さんのうちオンライン・プラットフォームの背後に存在するこれらコミュニティに気づいておられない人たちまで含まれます。

ウィキメディア財団の最も重要な任務の一つには、私たちが受ける財政的なご支援を、世界各地の個人やグループや組織と共有し、活気ある貢献者コミュニティを共に構築することがあげられます。その実現には非常に複雑な管理と財務のインフラ運用が求められ — それは毎年、Charity Navigator(チャリティー・ナビゲーター)など独立系の監視機関から最高評価を受けてきました。

当財団による資金配分はボランティア委員会の指導のもと、活動の確立が進んだ地域におけるイノベーションの掘り下げと、新興コミュニティであるアジアやラテンアメリカ、サハラ以南アフリカなどにおける大規模な成長への取り組みとの間で優先順位を調整します。加えて私たちの運動の戦略目標には、「‘知識の格差」と呼ぶギャップの解消があります。その一例には、ウィキペディアに女性の存在感をもっと増やそうと伝記を書いてきた無数の個人や団体の協働をあげることができます。

この活動の目標は、私たちの理想と価値観を共有するすべての人にご参加いただくことにあります。その範囲は新規参加者の歓迎、既に活動経験のある編集者の支援まで多岐にわたります。個人に対する少額の補助から、複数年にわたり地域活動を発展させる国・地域別協会主催の大規模な助成金まで、いろいろな支援の形があります。そのほかにも世界各地の教育機関や文化機関を結ぶ数百件のパートナー関係の支えも可能です。

言い換えるなら、人々が今いる場所へ会いに行くのであって、先方から私たちを探してもらえるとあぐらをかくことではありません。私が思い返すものを示すと、カナダのアティカメク・ファースト・ネーションとの公開の知識作成共同事業、アメリカを拠点とするアート+フェミニズムと取り組むジェンダー格差、日本における各種エディタソン、中央ヨーロッパのキルギス語版ウィキペディアの立ち上げ、ナイジェリアではウィキメディア貢献者の基盤づくり、モロッコの教師が 授業でウィキペディアを採用できるようにする支援など、助成金をいろいろに活用した成果を思い浮かべます。

こうした活動をする人々は、皆さんのコンピュータ画面には映らなくても、ウィキペディアという人間の領域を支え、ここでお話したすべてのことを実現しています。


ウィキメディア財団の活動、特に寄付をお願いする活動について、この説明が少しでもご理解に役立つよう願っております。

私たちは成り立ちの経緯もあり、少数の特権的な人々に取り入って多額の小切手を書くよう頼んだりはしません。ウィキペディアは皆さん全員のものであり、役に立つと思われる人から、できる限りのご寄進をお願いしたいからです。広告ゼロで独立したサイトの維持には、読者総数のほんの 2% の皆さんからお預かりした資金を役立てています。

上記でご覧いただいたとおり、ウィキメディア財団は成長を続け、技術や地理、社会の変化に対応しようとしてきましたが、それらの変化はますます加速しています。今日の投資に加え、私たちは将来を見据えた計画も立てており — 例えば基金の増額は技術革新の加速に備え、 未知数の大きな前進としてインターネット上の言語の役割再考などです。この活動の重要性にご賛同いただけるなら、ぜひウィキメディア財団へのご寄付をご検討願います。

ウィキペディアという百科事典は最上の人智を集めてあります。ソーシャル・メディアのプラットフォームでも、意見を述べるページでもありません。これほどのものは他に存在せず比べることは不可能です。それは私たち全員が共有するものでもあるのです。


マリアナ・イスカンダー(Maryana Iskander)はウィキメディア財団の最高経営責任者です。

当財団の事業をご支援いただける場合は、寄付を donate.wikimedia.orgにてお寄せください。

編集者あとがき:この投稿は当初、2023年10月30日に掲載されました。その後、情報は2024年11月と2025年同月に更新しました。

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